喜邑 (寿司) 玉川

Kimura01 ある日バスに乗って外を見ていたら、マンションの1階に寿司屋ができていた。特別気を引くような店構えでもないのに、「この店は絶対おいしい」という直感が走った。何故だか分からないけど、行かなければならない、と言うぐらい強い感覚だった。なので、何の前提知識もなく、ある日の夕方、一人でノコノコ店を訪れてみた。

 バスから見たときには無かったが、営業中の時には大きなブルーの暖簾がかかっていた。その暖簾をくぐると、店は落ち着いた程よい広さだった。L字型のカウンター席が8席。テーブル席は無い。二人組の先客が二組いたが、「予約はしていませんが」というと、「お任せになりますが、よろしいですか」と聞かれ、結構ですというと、空いている席に案内された。

Kimura02 ガラスのネタケースはなく、木のネタ箱が二つ見えた。量は多くないが、上質のネタが並び期待が持てる。奈良の春鹿を飲みながら待つと、マグロの赤身のお通しに始まり、白身の魚のお造り、笹の葉に載せて焼いた穴子等素材に手を加えたつまみが次々と出された。これだけでも嬉しいが、お目当てはやはり寿司だ。これが素晴らしい。小振りの握りで、形も綺麗で、食べるとはらりと口の中で広がる。

 印象が強かったのは、まずカンヌキと呼ばれる秋刀魚ぐらいの大きさのサヨリで、脂も載ってとても旨い。それから、目の前でむいてくれる赤貝や鳥貝。むきたては、香りが違う。筍を細く切って巻いてくれた海苔巻きや干瓢巻きも絶品だった。お酒を2合飲んで、大満足なぐらい食べて1万円しなかった。このレベルの料理だと本当にお値打ちだ。申し訳ない気さえする。

 九代目林家正蔵(こぶ平)似の若い主人が一人で全てやっている。毎日築地にバイクで行って、大好きな魚を直接仕入れ、休みの日には、他のお店に寿司を食べに行くという。本当に寿司が好きで好きでたまらないという主人だ。儲けより客の満足を大事にするこの店は、かならず大化けすると感じた。  

 このお店、文芸ジャーナリストの重金敦之氏が文芸春秋社「本の話」の「酒屋に一里本屋に三里」で取り上げているが、それ以外ほとんどまだマスコミにもインターネットにも掲載されていない。あまり込んで予約が取れなくなっても困るが、こんな良い店にもっとお客が来てほしいなぁと言う気持ちもあって、ブログに載せることにした。是非至福の時を皆さんも味わってもらいたい。

 店は、終日完全禁煙。殻からはずしたての鳥貝の磯の香りも、小鯛に摺りかけた微かな柚子の香りも、そして鰹のたたきの藁で燻したクフンとした香りも、何にも邪魔されず鼻腔に達し、食欲を誘う。


喜邑(きむら) 玉川3-21-8 3707-6355(必ず予約を) 
昼 11:30-14:00 (火、金、日のみ営業)  
夜 前半17:00-19:30  後半19:30-22:00
月曜日定休 

コースのみ 5,250円  8,400円  12,600円 (但し5,250円は昼のみ)

[追記]
 カウンター8席だが、満席になるとペースが乱れるのだろうか、5~6人になるとあとは断ってしまう。だから、なかなか席が取れなくなっている。このブログを見てこられる方もいるようで、最近3日連続予約を断られてしまった。そのときは、ブログから削除しようかと悩んだ。

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鮨 一久 (寿司) 世田谷

 世田谷通りの大吉寺のすぐそばに1年ぐらい前寿司屋ができた。なかなかいい雰囲気のお店なのでちょっと試しに入ってみようと、小窓から中を覗くと、カウンター席に結構お客が入っていることが多く、ではまた次回とちょっと入る機会を逸していた。最近、やっと入る機会があり、そのレベルの高さ、店の雰囲気のよさを実感した。
 
 店は、間口は狭いが奥行きはあり、入るとカウンターの台がまっすぐ奥に伸びる。入り口の小窓から見るとカウンター席に座るお客が重なって見える。このため、いつも満席に見えていたようだ。その奥に個室風のテーブル席もあり、小グループには打って付けかもしれない。

 握りは、小振りでご飯の具合が極めて良い。刺身はうまいが握りは今ひとつという寿司屋が結構あり、握りでのご飯のしめる役割はきわめて大きいが、米の質、炊き具合、握り具合ともに大変満足できる。その小振りの寿司に煮きり醤油をハケでサッと塗って出してくれる。大変旨い。

 バックミュージックに落ち着いたジャズがかかっていて、とてもいい雰囲気を出しているし、主人がまだ若いのに落ち着いた仕事をするので、店全体にとてもゆっくりした和やかな空気が満ちている。癒される寿司屋だと感じた。

ikkyu01 嬉しいのは12時までやっていること。平日の夜、女房と三軒茶屋のパブリックシアターで芝居を見た帰り、10時過ぎに店に入ってもゆっくり食事ができた。住宅街で夜遅くにちょっと美味しいものを食べたいという欲求を満たしてくれるお店は貴重だ。

 店の看板は、素晴らしく美しい文字で店名が書かれているが、難しくて読めない。店のお酒のメニューはどこかで見た字だと思ったら、用賀の酒屋「油屋」の主人の字だったのでびっくりした。

世田谷4-7-7 3706-2855 18:00~24:00 月曜定休


 

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あら輝 (寿司) 中町

2010年2月に銀座5丁目の東銀座駅そばに移転

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この店へは、知り合いの方に連れて行ってもらった。
何度も店の前を通りながら、なかなかおいそれとは入れない店で、この店の常連の方に頼んだ。

店の中は、本当に清潔で、無駄なものは何一つない。ガラスのネタケースもない。
いや必要なものも見えるところにはない。それこそ信念を貫くと言っていいぐらいに何も置かない。
みごとだ。

スキンヘッドで、街ですれ違ったら誰もが絶対道を譲るような風貌をされている荒木さんだが、話すととても優しい。
威張りもせず、卑屈にもならず、自然体で、ありのままで、惚れ惚れするぐらいに優しい。

皿を置かずに、綺麗に磨きこんだ白木の付け台の少し高くないところに、握りをそのまま出してくれる。
他の店では見たことがない。
「手を出してください」といわれて、犬にお手!をするような格好をすると、海苔を巻いていない(軍艦巻きでない)ウニの握りを手の平に載せてくれた。
海苔がないほうが確かに旨い(間違いない!)

とにかく勉強家で努力家。寿司を握るために生まれてきた人である。
まだまだどんどん腕が上がる。
末恐ろしい寿司屋である。

中町4-27-1 3705-2256 水曜定休(月1回3連休有り) 12:00~14:00(前日までの予約のみ)、17:30~21:00
予 約: 昼は前日予約、夜は当日予約可

araki01.jpg

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八志希(寿司) 弦巻

インターネットでウマい店の情報交換をしているサイトを覗いていて、

「世田谷通りの松ヶ丘交番を斜めに入ったところの寿司屋はウマい」
「そうそう、しらとりの裏手だよね。あそこは物が良い」

というのも見てびっくり。だって松丘交番から斜めに入る道は、抜け道で何十回も通っているが、あそこに飲食店があるという記憶がないのである。「ほんとかなぁ」などと、かなり疑った。

先日、そのそばを通りかかったので、じゃ行ってみるかと店へ行った。
世田谷通りから新築になった松丘交番の手前を左に入ったとたん住宅街になり店はなくなる。
ほどなく左手に「八志希」という看板があった。が、店がない。おかしいなぁと再度見ると、その看板の横がお店であった。

2階建ての文化住宅風のアパートの1階で、喫茶店かスナックみたい。ちょっとあせった。

「寿司屋だよなぁ・・・・」

と自分に問いかけ、腕組みして考えた。
こんな店構えでまともな店のわけがない。
でも、インターネットの情報も気になるしなぁ・・・・

窓からちょっと覗いた。

客が二組。
意を決して、ドアを開けた。
ドアの中は、ちゃんと寿司屋だった。安心した。

主人と二番の弟子が中に入っていて、給仕を男の子が一人。
各人の席の前に、大きな皿が置いてあった。
ご主人は、愛想のよさそうな方で、気楽に話せそう。

お任せでつまみで出してもらった。

まず10Kgの常磐であがったタイからで、厚めに3枚切ってくれて、シコシコする歯ごたえとうまみ十分。
続いて、カツオ、岩ガキ、蛸のやわらか煮と出してくれてすべて旨い。
次に、時期物だからと新子(こはだの子)が出た。4枚付けの新子でこれは嬉かった。

新子の初物はキロ5万。200枚ぐらい取れるそうだが、1貫4枚付けで1000円になる。
しかし、新子で1000円は取れないから、結局お店の赤字になるという厄介な代物。だから、店のやる気が新子からは見えてくる。

ハモの骨切りをしているのを見て、注文したら、醤油を付けてあぶった物を出してくれた。
これも満足。

続いて2貫ずつ握ってもらことにして、タイ、赤貝、新子、イワシ、赤みの鉄火、で焼きたて玉子。
小ぶりで食べやすい握りで、大満足であった。
途中、主人が玉子を焼き始めたため、握るのが弟子に変わったが、力量の違いは歴然。
やはり主人の握りを食べたほうが良い。

一見さんで予約なしで入って、これだけ食べたて飲んだらかなりいくだろうなぁと覚悟していたら、なんと9500円。かなり安かった。
「お近いうちにまた是非どうぞ」という主人の声を背に帰宅。充実のひと時でした。

それにしても、店は見かけによらない。

弦巻5-18-12 3426-1336 水曜定休

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追記 2007/1/13

久しぶりに寄ったら、お店を改修していた。

Yashiki10

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喜よし (寿司) 桜新町

東急田園都市線桜新町から渋谷の方に旧玉川通りを上って7~8分。東電の先を右に曲がった路地にある。
夜だけ営業。でも営業中も暖簾は引っ込んだまま。
なぜ暖簾を出さないのか聞いたら、
「だって、暖簾出したら知らないお客が入ってきちゃうでしょ」
つまり、ほぼすべて常連で予約客ということ。

開店当時(十数年ぐらい前)は、お弟子さんが一人いて、二人で握っていた。
サウスポーのご主人と右利きの弟子が、ご飯のおひつを中心に左右対称に寿司を握る姿に妙に感動したのを覚えている。1年もたたずに弟子はやめ、主人が一人で握るようになった。

小さいときから「大人の男」とは行きつけのすし屋がある人のことと信じて疑わなかった私は、自慢できる行きつけの寿司屋を探していたが、有名な下北沢小笹の二番をやめて自分で店を出したこの店がぴったりだった。
初めて予約して一人で言ったときには、エル字型のカウンター席の一番端っこに案内されて、弟子が握ってくれた。
おいしかったけども、緊張してすごいスピードで食べ、お会計のときに、「今度いらっしゃる時は、ゆっくり召し上がってください」なんて声をかけられる始末だった。

それから、毎週1回づつ予約して通った。
だんだん通される席が良くなってきて、10回目ぐらいで、一番良い席に座れたときには嬉しかった。

初めて行ったときに1万円ぐらいでお願いしますと頼むと、ヒラメ、アオリイカ、ミル、青柳、新子、アジ、づけ、穴子、煮イカ、中トロ、干瓢巻き、玉子と出してくれた。
白身や味の薄い貝から始まってひかりもの、甘ダレがついた煮物、油がのった中とろ、巻物と出してくれたのが分かって、とても食べやすく、以降どの店でもこの順で頼むようになった。するとどの店でも一応一人前に扱ってくれるのが分かって、良い勉強をさせてもらったと今でも思っている。

寿司の味は最高だった。食べやすい大きさで、しっかり形良く握られているのに、口の中に入れるとはらりと崩れた。あぶって出してくれる穴子は最高だし、細いきゅうりをそのまま日の丸みたいに巻いてくれるカッパも大好きだ。

でも、最近はずっと行っていない。
弦巻の中むらの常連になって、他にはいけなくなってしまったから。
フレンチを食べ歩いているときは、シェフやメートル、はては隣席のお客にまで他の店の情報交換をして食べ歩いた。しかし寿司屋は別だ。なじみの店以外に他の店にも行くとなんだか貞操観念がないような気になってくるから不思議。


新町2-5-14  3706-7008  18:30 ~ 22:00 (但し日曜・祝日17:30 ~ 21:00)

kiyosi.JPG

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